ERPと業務管理
受注、在庫、会計、生産など会社全体を動かすシステム。
ERPと業務管理
ERPとは、実際には何か
会社が動くための業務を、1つのシステムに収めたものです。受注、在庫、購買、会計、場合によっては生産、プロジェクト、人事まで含みます。狙いは、同じ数字をめぐって5つのシステムが言い争うのではなく、記録を1つにすることです。
その1つの記録が、利点であり、コストでもあります。すべてがつながるので、すべてが一致しなければならず、そのために必要な規律が、こうしたプロジェクトを難しくしています。
会計だけなら会計と経理に入ります。在庫だけなら在庫管理です。顧客との関係はCRMと営業にあります。
1つのシステムが複数に勝るとき
小さな会社にとっては、つないだ専門ツールのほうが、たいてい優れています。それぞれが自分の仕事をうまくこなし、どれも簡単に置き換えられ、つなぎ目は、プロジェクトではなく誰かの毎月の保守で済みます。
ERPが元を取り始めるのは、突き合わせ作業が仕事になったときです。元帳と食い違う在庫数。システム間で再入力される受注。3つのデータ元を手作業で揃えなければならないために、2週間かかる月次決算。
もう1つのきっかけは、構造的なものです。複数の法人、複数の通貨、複数の倉庫、あるいは原価が資材の動きに依存する製造工程。これらは、コネクタでまとめておくのが困難です。
モジュールと、実際に使うものだけを買うこと
- 会計。他のすべてが転記される元帳です。
- 承認と入荷照合を備えた購買と仕入先。
- 必要に応じてロケーション、ロット、シリアル番号を含む在庫と倉庫。
- 見積もりから請求書までの販売と出荷。
- 物を動かすのではなく作るなら、生産。
- 事業の形によって、プロジェクト、サービス、現場作業。
提供企業はスイートを売り、モジュールを別々に値付けします。初年度に本当に使うモジュールを洗い出し、それだけを見積もってもらい、残りは、いま追いかける割引ではなく、あとで決めることとして扱ってください。
導入こそが、本当の製品
ソフトウェアは、ERPにかかる費用のごく一部です。残りは、設定、データ移行、連携、そして自社の社員が本来の仕事から離れて費やす時間です。
プロジェクトが死ぬのは、データです。持ち主のいない在庫記録、同じ会社が4通りの表記で載っている顧客リスト、誰も説明できない過去の調整が入った元帳は、どれも読み込む前にきれいにする必要があります。その作業は、どの製品を選ぶかに依存しないので、早く始めてください。
導入を誰が行うのかを、提供企業に尋ねてください。パートナーのネットワークは、品質のばらつきと別契約を意味し、成果にとっては、ソフトウェアのロゴよりもパートナーのほうが重要です。
カスタマイズ、アップグレード、長期の視点
カスタマイズはどれも、アップグレードのたびに払う税金です。
優位性を与えるプロセスと、単に昔からそうやってきたプロセスを区別してください。前者は、それに合わせて作り込む価値があります。後者はソフトウェアに合わせて曲げるべきで、それを曲げることへの抵抗が、予算超過の最も予測しやすい原因です。
アップグレードの仕組みを尋ねてください。自動か、予定されたものか、毎回プロジェクトになるのか、そして実行したときに自社の設定がどうなるか。ホスト型の製品は提供企業のカレンダーでアップグレードされ、決める手間がなくなる代わりに、依存関係が加わります。
費用、契約、撤退の仕方
ライセンスは通常、1ユーザーにつき月額で、役割による階層があります。倉庫のスキャナーに、会計の席は必要ないからです。導入は別途見積もられ、初年度のライセンス料の1倍から3倍に達するのが普通です。
署名する前に、商取引上の質問を3つしてください。署名時ではなく、更新時の価格はいくらか。やめる場合のデータ抽出は、完全で読める形式で、どのようなものか。そして、サポートに何が含まれるか。名指しで担当が付くサポートは、別の階層になっていることが多いからです。
ソフトウェア全般で、提示される数字の裏にある習慣は、料金ページが隠していることで説明しています。
プロジェクトがうまくいっていない兆候
こうした導入は、突然失敗することはまずなく、警告のサインは、名前を付ける価値があるほど一貫しています。
計画の後ろのほうに先送りされ続けるデータの整理。それぞれは擁護されながら、合計は誰も数えない、増え続けるカスタマイズの一覧。通常業務を抱えたままワークショップに出席する主要な社員。3つの前のマイルストーンが動いたのに、動かない本番稼働の日付。
このうち2つが同時に起きていれば、計画は現実を描かなくなっています。
対応は不評ですが、効果があります。日付を動かすのではなく、範囲を絞ることです。会計と1つの業務領域を扱う第1フェーズがきちんと動くほうが、遅れて到着し、誰にも信頼されない完全な導入に勝ります。残りのモジュールは、システムがすでに動いている状態から、あとで入れます。
よくある質問
ERPの導入には、どのくらいかかりますか?
小規模な導入で3か月から6か月です。製造や複数の法人を扱う場合は、1年以上かかります。変数はソフトウェアではなく、システムに合わせて自社の業務プロセスをどれだけ書き換える必要があるかです。
導入費用は、ライセンス料と比べてどのくらいですか?
初年度のライセンス料の1倍から3倍が一般的で、それ以上になることもあります。ソフトウェアだけで予算を組むのが、ERPプロジェクトが5か月目に資金切れになる最も確実な原因です。
カスタマイズすべきですか、それとも業務プロセスを変えるべきですか?
違いが優位性ではなく習慣である部分は、プロセスを変えてください。カスタマイズはどれも、アップグレードのたびに払う恒久的な税金で、最も強く擁護されるものほど、価値が低いのが普通です。
小さな会社でも、ERPは使えますか?
使えますが、多くの会社は使うべきではありません。約20人以下なら、つないだ専門ツールのほうが、たいてい1つのプラットフォームに勝ります。ERPが引き合うのは、別々のシステムを突き合わせるコストが、1つを運用するコストを超えたときです。
こうしたプロジェクトが失敗する最も多い理由は何ですか?
データです。きれいだったためしのない在庫、元帳、顧客記録を、事業が動き続けるなか、受け付けようとしないシステムに移行することです。その作業は、ソフトウェアを選ぶ前に始めてください。